インド・アムリトサル /国境を感じる

インド・アムリトサル /国境を感じる

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紛争が絶えないインドとパキスタン、その2国間で唯一開かれる国境がアムリトサルのワガだ。島国の日本では感じることが出来ない陸続きの国境で、紛争の最前線の緊張感やそれぞれの国境兵士たちのプライドを肌で体験し、国境とは何かを考えてみる。

インド北部パンジャーブ州アムリトサル 
〜ワガ国境とシク教徒の聖地黄金寺院を旅する妄想旅行計画〜

 アムリトサルと聞いてすぐにピンときた人はかなりのインド通なのだろう。基本的にバックパッカーのゴールデンルートはコルカタからデリーまでルートが一般的だし、また、インドリゾートを体験するならゴアを含めたインド南部、そして音楽やジュエリーを求めるならインド西部のラジャスターンのジャイサルメールやジョドプールなどになる。つまりアムリトサルに用がある旅行者(パキスタンへの国境超えを考える長期旅行者を除き)は稀であろう。しかし今回の妄想旅行計画はあえてアムリトサルにしてみた。実はアムリトサルには学ぶことが多いと感じている。理由としては、日本では感じるとが出来ない陸路の国境があり、さらにこの国境はお互い敵対しているインド・パキスタンという国同士の国境であること。他にも私達がインド人といえばのステレオタイプである頭にターバンを巻いたインド人であるシク教徒の聖地であり、そこには不死の甘露水をたっぷりと備えたシク教黄金寺院の存在だ。

○敵対国インドとパキスタン

 そもそも大英帝国の植民地時代には、インドもパキスタンも一つのインドだった。しかし現在のパキスタンには当時からイスラームの人々が多く住み、インド地域にはヒンドゥー教徒が住民の殆どを占めていた地域であった。そのため第二次大戦後のインド独立の際には、非暴力で国の独立を先導したマホトマ・ガンディーの説得虚しく、この2つの地域は一つの国としてまとまることはなく、2つの国に分かれ、さらには今現在まで続く紛争の火種となっている。そんな2つの国を結ぶ唯一のルートがこのアムリトサルのすぐ近くにあるワガ国境だ。したがってこの国境ではインドとパキスタンという敵対する国家のプライドの張り合いの場所となっている。

○ワガ国境とクロージングセレモニー

 このワガ国境は17時に閉門するが、その時行われるのが国境クロージングセレモニーである。クロージングセレモニーではインド・パキスタン両国の国境警備にあたる軍人たちが完全礼服で儀礼的に門を閉める。そしてその様子を観光客は見物することができるという。また、こうした観光客はそれぞれの観客席に座り、自国の軍人に熱い応援を送る。さながら甲子園の応援スタンドのような光景が広がる。さらにスタンド前にはマイクを片手にその応援を煽るようなMCまでいて、一つのエンターテイメントを見ているような感覚になる。このような両国がそれぞれのプライドを掛けたクロージングセレモニーは一見の価値があるし、また、日本では感じることが出来ない体験と学びができるのではないか。

○インド人とターバン

 このアムリトサルにはもう一つの顔があるそれはシク教徒の存在だ。最初にも少し述べたとおり、私達日本人がインド人というとカレーと頭にターバンを巻いた人というイメージが強い。実はインドではこのターバンを巻いたシク教徒はインド人口の2%にも満たない。50人に1人である。それなのにも関わらずなぜインド人といえばこの姿を想像してしまうのだろうか。その理由は、大英帝国時代のイギリスの軍事政策にあったという説がある。インド人の8割はヒンドゥー教徒であるがヒンドゥー教では通常肉を食べる人は稀だ。つまり基本的に彼らはベジタリアンである。そしてその食生活のためヒンドゥー教の人々は体が小さい、軍人としてはやはり体が屈強な方がいい。したがって大英帝国はシク教徒を多く軍人として採用した。そんな大英帝国はその時代、世界一の植民地を持つ海洋国家であった。こうして大英帝国の軍人となったシク教徒は、世界中の植民地に大英帝国軍の一員として海を渡ったのである。こうしてシク教徒を世界中の人が初めて見るインド人として認識し、その姿が植え付けられていったのである。もちろん初めてインド人を見た日本人がインド人イコールターバンと捉えたのは当然のことだろう。
 
○シク教

 そんなシク教はどんな宗教なのか、簡単に述べるとヒンドゥー教から派生し、同じく輪廻転生を信じている。しかしヒンドゥーのカーストを否定し、同胞主義的な部分としてはイスラームに近い。つまりこの2つの宗教の影響を受けたハイブリット宗教である。16世紀に始祖ナーナクによって、このパンジャーブ地方に起こされた宗教だ。シクとはサンスクリット語で弟子という意味である。18世紀までに現在のシク教徒の形が出来上がったとされている。シク教徒といえばターバンと立派に蓄えた髭であるが、これは彼らの教義で体毛を剃ることが禁止されているからだとされている。つまりターバンは伸びた髪を巻き込んで形成されている。なんとこのターバンを理由にバイク乗車時や軍隊でもヘルメットの着用が免除されている。これは元宗主国のイギリスでも免除だそうなのだから面白い。
 コトバンク: https://kotobank.jp/word/シク教-72829
 
○アムリトサルと黄金寺院

 そしてアムリトサルはそのシク教徒の聖地である。その聖地にそびえるのがシク教のハリマンディル、通称ゴールデンテンプル(黄金寺院)だ。もちろん総本山があるだけあって、アムリトサルはシク教徒の住民が多い。またインドのみならず世界に散らばっているシク教徒の心の拠り所なのだ。この黄金寺院は異教徒でも参拝することができる。しかも無料で食事もさせてくれる。毎日10万食の食事を配膳している。まあなんと心の広い宗教なのだろうと感じてしまう。実はドネーション(寄付、金額はいくらでもいい)で宿泊することもできる。建築様式はイスラーム建築とヒンドゥー建築が見事に融合されており、名前の通り金閣寺のように黄金に輝いている。その周りは白亜の大理石で囲まれ、その周りを不死の池で囲まれている。この不死の池の水がアムリトサルの名前の由来である甘露の水となっていると言われる。
 wiki:https://ja.wikipedia.org/wiki/ハリマンディル・サーヒブ

○シシカバブとタンドール

 シク教徒はヒンドゥー教徒と違い肉食に関しては原則自由である。しかし、イスラームのように酒は禁止。またヒンドゥー教徒と同じで牛肉は食さない。一般的なのは羊肉と鶏肉であることも、両宗教の影響があるのかと思うと面白い。シシカバブは主に羊肉の料理で、タンドリーは鶏肉料理と考えると、パキスタン・イスラームとインド・ヒンドゥーの国境都市であるアムリトサルは食文化でもハイブリットとつくづく感じる。
 wiki:https://ja.wikipedia.org/wiki/シシカバブ
:https://ja.wikipedia.org/wiki/タンドリーチキン

○妄想旅行計画 
 このようなアムリトサルで現在はインド・ヒンドゥー教・パキスタン・イスラームと敵対しつつも、少数ながらかつてこれらの融合させたシク教、地域に根ざした食文化もハイブリットという経緯を辿った地。このような土地を五感で感じ、体験し学ぶ旅が今回の妄想旅行計画だ。

●妄想旅行日程 

早朝:シク教徒の聖地アムリトサルを人が少ないうちに散歩する
9:00:朝食/パラータとチャイ → パラータは定番のインド朝ごはん
10:00:シク教徒の聖地黄金寺院見学/シク教徒とはなにか
12:00:昼食/パンジャーブ料理の代表シシカバーブを本場で楽しむ/シク教徒は肉を食べる
13:00:ジュリアンワーガーバーグ/ イギリス統治下の虐殺現場
15:00:ワガ国境へ移動 
16:00:ワガ国境クロージングボーダーセレモニー見学/パキスタンとの唯一の国境
18:00:夕食/パンジャーブ代表料理タンドールを味わう/本場タンドリー専門店がうまい
19:00:ライトアップされた黄金寺院を見に行く

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