イタリア・ミラノ/ファッションを学ぶ妄想旅行

イタリア・ミラノ/ファッションを学ぶ妄想旅行

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 イタリアといえば、世界で最も世界遺産の多い国だ。なんとその数は58に及ぶ。私達日本の世界遺産の数が25である。日本だったら各47都道府県に一個ずつ世界遺産をおいてもまだ余る数があるとを考えると、なんて観光に適した国なんだと考えてしまう。また、食、アート、歴史、建築など旅行に欠かせないコンテンツが盛りだくさんの国である。また、イタリアと言えばこれら以外にも重要なコンテンツが有る。それはファッションだ。イタリアでファッションと言えばコレクションも開催され、名だたるイタリアハイブランドの本店があるミラノだろう。ここミラノはレオナルド・ダヴィンチの最後の晩餐などでも有名な北部ロンバルディア州の都市であるが、ミラノは観光だけでなく、イタリアの金融、工業の本拠地でもある大都市である。今回はそんなミラノでファッションを学ぶ妄想旅行を計画してみた。


●スケジュール
7:00:朝食前の朝散歩/通勤する人々のファッションチェック
8:00:朝食/カプチーノ・コルネット・ブリオッシュ → イタリア定番の甘い朝ごはんコルネット・ブリオッシュはクロワッサンや菓子パンを指す、カプチーノ基本は朝にいただくもの
10:00:プラダ財団美術館/ファッションに通じる現代アートにふれる
12:00:昼食/プラダ財団併設ウェス・アンダーソンのカフェバー/プラダの世界観で昼食を
14:00:アルマーニ美術館/モード界の帝王、ジョルジオのセクシーさを体験
16:00:トリエンナーレ美術館/イタリアデザインとファッションの関係 
18:00:夕食/ミラノ風カツレツと黄金のリゾット・ロンバルディア特産シャンパン・ワイン/一度は食べてみたい
20:00:ナイトライフ/バー、クラブ/最先端のインテリアを楽しむ
深夜:シメ/イタリアのシメの定番はラーメンではなく、ブリオッシュ/夜中2時からオープンしている

○意外に遅咲きミラノのハイブランドファッション

サルバトーレ・フェラガモ コレクション

 2021年のミラノコレクションは新型コロナの影響から観客が入るのではなく、映像で行うブランドが多かった。このコレクションで目を引いたのはサルバトーレ・フェラガモの映像だった。映像の冒頭に出てくるCGの都市は何処か「イタリア未来派」の建築を漂わせている(フェラガモはフェレンツェが本拠地ですがミラノコレクションに出ています)。他にもドルチェアンドガッパーナはわかりやすいぐらい近未来をモチーフにしていた。そんなSF的趣向を凝らしたミラノファッション・ウィークであったが、意外にもこうしたイタリアハイブランドが世に出てきたのは、第二次世界大戦後であった。
 第二次世界大戦で廃墟となったヨーロッパでは復興めざましく、特に戦勝国となったフランスやイギリスが再び大きな経済力をつけていた。そして、資本はまたたく間に増大し、現在の産業構造と同じく、賃金の安い国に工場を立て、そこで生産を始めた。この賃金が安かった国がイタリアである。この過程でミラノにも服飾工場が多く投入され、現在の基盤が出来上がったのである。
 こう考えると、実際に中国もアナスイを始め多くの有名ファッションデザイナーを生み出しているから、もうすぐ世界で認められるハイブランドを送り出してくるんだろうなと感じる。

参考:イタリア未来派

○イタリアハイブランドを牽引した3つのハイブランドと映画業界との関係

『アメリカン・ジゴロ』映像

 特に1970年代にはアルマーニ、ヴェルサーチ、ジャンフランコフィレが登場し、イタリアファッションに世界中が注目し始めた。もともと職人技術に特化し、芸術的にも基盤(ルネサンスといえばイタリア)があったイタリアでは長所を活かしイタリアならではのファッションを生み出していった。そんな時代の1970年代はアメリカハリウッドの映画産業が復活した年代でもある。これに目をつけたイタリアのハイブランドはアカデミー賞のレッドカーペット上を歩くスターたちに惜しげもなく衣装を提供し、世界中の人々がそれを見にした。こうして、イタリアハイブランドは世界で成功を収めていくのである。リチャード・ギア主演の『アメリカン・ジゴロ』とアルマーニの関係を見れば、映画とファッションデザイナーの蜜月が浮かんでくる。
 ちなみに私自身は、1960年代のイタリア映画のレトロなファッションが見ていて面白い。ファッションやインテリアを中心に見る映画としては「黄金の七人」が個人的にはおすすめだ。幼き頃にみたルパン三世の元ネタなんていわれている。

『黄金の七人』

○本物のマリオブラザーズが創設したプラダ(PRADA)

Embed from Getty Images

 マリオといえば、日本が誇るマリオブラザースもイタリアの配管工事職人設定だったことを思い出す。しかしこちらのマリオブラザーズはゲームキャラではなく本物。決してリオオリンピックの閉会式に登場した安倍元首相でもない。
 プラダは、1913年にマリオ・プラダ とフラテッリ・プラダブラザーズが、ミラノの中心にあるミラノのスーパー観光地、ガレリアにプラダ1号店として皮革製品店を開業したことに始まる。セイウチやワニの革など高級で珍しい革で、かつ質の高いものを世界各国を巡り集め、優れた職人技術で製品を作っていた。それが評判となり、イタリア王室御用達ブランドまでになったらしい。
 その後しばらく低迷期が続いたが、1978年マリオの孫のミウッチャ・プラダは「日常を贅沢に飾る」をコンセプトとし、現代的で革新的な素材使いやデザインの斬新さと、伝統とのみごとな調和でのし上がる。プラダといえば、パラシュートやテントなどで使われるナイロン生地「ポコノ」を使った商品が有名だが、これが当時話題となり世界中でブームとなる。アパレル分野では1993年に「ミュウミュウ」(MIU MIU)を設立。ブランド名はミウッチャ・プラダのニックネームが語源だそうだ。何を隠そう実は私もミュウミュウの千鳥格子のジャケットを持っている。古着で買った中古品だが・・・

PRADA

○プラダ財団美術館は凝縮された現代アート展示場

Embed from Getty Images

 ミラノが本店のプラダは、お膝元にプラダ財団を設立し、美術プロジェクトを進めている。そして出来上がったのがこのプラダ財団美術館だ。ファッションを生業としている人からすれば当然の話しだが、ハイブランドのオートクチュールなんてアート意外の何者でもないし、当然多くのインスピレーションをアートや建築から受けているようだ。アールヌーヴォーがもてはやされた時代には、曲線を用いた服飾デザインが定番になるし、バウハウスが世に出れば直線的なデザインが定番となるといった具合だ。つまり、ハイブランドのプラダが美術館を設立したことは、至極当然と言えるのかもしれない。さらにアートの境界を越え、デザイン、音楽、文学、およびそれらの交流の可能性から成る広大な文化領域を捉えるというのがプラダ財団のコンセプトと言えるだろう。ハイブランドのコレクションには、音楽やアート、哲学的な演出が多々ある。こうしたものもまた、ファッションが時代のアートやそれらを含めた文化といかに密接かが伺える。

プラダ財団美術館

○プラダとウェス・アンダーソンのカフェバー

『Castello Cavalcanti』 ショートムービー

 プラダというブランドもまた映画との関わりが深い。プラダ財団は映画プロジェクト「CARNE y ARENA」でこれを具現化した。この作品は、映画監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが考案した没入型VRインスタレーションで、彼はこれにより2017年にオスカー特別賞を受賞したそうだ。
 また、小難しい現代アートだけでなくても、もっと身近なところでプラダと映画の関係について触れることができる。それは『ロイヤルテネンバウムズ』や『ライフ・アクアティック』などの代表作を持つウェス・アンダーソン監督が手掛けるカフェ・バーが、なんとプラダ財団美術館に併設されているのだ。そして、もちろんカフェではお酒、手軽な食事、スイーツまでいただけるらしく嬉しいかぎりだ。
 プラダとウェス・アンダーソンの関係はカフェバーだけではなく、プラダが販売している香水「Candy L’Eau」のコンセプト映像の作成や2013年公開のショートムービー『Castello Cavalcanti』でもタッグを組んでいる。当時のプラダの世界観が凝縮された映像となっているが、そこにウェス・アンダーソンの世界観が見事にマッチしている。そんな世界観をここプラダ財団美術館で体験できるのは失禁ものだ。
 十数年前インドを旅したばかりでインドにかぶれていた当時、『ダージリン急行』というウェス・アンダーソン監督のインドを舞台にした映画に出会い、度肝を抜かれたのを今でも鮮明に覚えている。その劇中のファッションや小物、色使い、音楽、どれをとっても美しく、底なしに洒落ているのである。ルイ・ビトンの旅行用のトランスクケースを次々と列車に投げ込むシーンを見て、ルイ・ビトンはそもそもトランクケースを作るブランドだったな〜なんて大学時代の講義で聴いたことを思い出し感心した。

『Candy L’Eau』映像

『ダージリン急行』offcial

ウェス・アンダーソンカフェバー

○アルマーニの原点とアルマーニ美術館とセクシーイタリア

アルマーニ美術館

 アルマーニグループの生みの親といえばジョルジオ・アルマーニ。彼もまた1970年代に飛躍したミラノの巨匠の一人だ。そんなアルマーニは現在ファッションのみならずチョコレートから携帯電話まで手掛ける超多角的経営グループである。しかし、この美術館でのその展示は、彼の原点であるファッションに概ね絞られているようだ。
 穀物倉庫を改装して作られたこの美術館では、グランドフロアで特別展、その上、日本では2Fに当たるフロアでアルマーニの原点であるスーツやアクセサリー、3Fには民族衣装とそれらに発想を得たデザイン、4Fには映画とうまく関係を結ぶことで飛躍したアルマーニらしく、スターの衣装となっている。
 2Fのスーツスタイルとアルマーニは切っても切り離せない。それはいわゆる「アイコン」というスタイルだろう。「アイコン」はそれまでイギリスのトラッドスタイルのようにかっちり作られていたミラノのジャッケットから型を抜くことで、よりボディーラインを強調し、男性の本来持つセクシーさを前面アピールしたスタイルだ。そもそもナポリスタイルだったものをアルマーニがミラノ風に作り出し出来たスタイルが「アイコン」だ。セクシーさを前面に出すあたりが、まさにイタリアファッションの真骨頂と言えるだろう。余談であるがイタリアにあるモトグッチというバイクも真上から見ると、女性のボディーラインをしているとバイクショップのスタッフが熱く語っていたのを思い出す。ビバイタリア、脱帽。
 また3Fの民族衣装もファッションとは切り離せないだろう。実際に多くのハイブランドがその年々で、各国の民族衣装にインスピレーションを受けた作品を多く打ち出している。ちなみに、同じミラノのハイブランドETRO(エトロ)もインドから多大な影響を受けている。特にペイズリーのデザインは秀逸だ。
 こうした美術館で一つのブランドをじっくりと考察することだけでも、現在のあるハイブランドファッションをより深く理解することができし、ファッション一つとってもセクシーなイタリアデザインは、ファラーリやマセラッティ、ベスパといった工業デザインからジローラモやモニカ・ベルッチまで、彼らの生活の隅々までそのセクシーさが行き届いていることに本当に感心する。

アルマーニ美術館

アルマーニのWikipedia

ETORO oficial

○トリエンナーレ美術館

 ファッションとアートは切り離せない。そんな考えから今回の妄想旅行では、こちらの美術館もチョイスした。それがこちらのトリエンナーレ美術館だ。この美術館はイタリア初のデザインを中心とした美術館でイタリアデザインの歴史やアート、建築、映画、そしてモード(ファッション)などのデザインを展示している。何度も繰り返しになるがファッションもアートの一側面であること、人の営みの中にデザイン(ファッション)があることを考えると、この美術館は外せないと感じる。ちなみにトリエンナーレという名前を関しているが3年に一度行われるアートの祭典であるミラノトリエンナーレではないのであしからず。

トリエンナーレ美術館oficial

 今回の妄想旅行計画はミラノでファッションを学ぶをコンセプトに企画したが、ミラノでは実際にこうしたハイブランドの本店が多数あり、当然買い物もできる。また、ハイブランドのお膝元だけあって、アウトレット品やバーゲン品なども数多く揃うようだ(お買い物露光情報に関しては他のサイトを参考にしてもらえれば、たくさん情報が出ます)。もちろん買い物も旅行の一つの醍醐味であるし、そこにたくさんの時間をかけるのが当たり前だろう。
 一方でせっかくミラノまで来たのだから、一日だけでも、そのブランドが持つコンセプトや価値、背景を学ぶことで、より一層そのブランドのファンになると感じる。そして、そうしたブランドの本質的価値を見言い出したからこそ、身にまとうハイブランドはさらなる輝きと自信を着るものに与えてくれるのではないかと思える。そしてドン小西にように、本場ミラノの人々のファッションチェックも忘れずに・・・という高級ブランドが購入できない自分の年収に嘆いてみた妄想旅行計画。

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